ABOUT THE GOAL

朝日町ブランド化推進プロジェクトの着地点

このコーナーでは、山形県朝日町(あさひまち)のブランド化推進プロデューサーである村尾隆介氏に、
インタビュー形式で本プロジェクトのゴールについて聞いています。

「『見学者が頻繁に訪れる』が、ブランディングの成功の証」

【聞き手】 まずは朝日町のブランド化推進プロジェクトで目指しているゴールについて、お聞かせください。
   
【村尾隆介】 ブランド戦略は、なかなか効果を測るのが難しい戦略です。

「新しい価値」をつくる戦略ですからね・・・
その「価値」を数値化するのは困難です。

だから、僕が大切にしているのは、それが企業やお店のブランドづくりであっても、
はたまた町であっても、「見学者が頻繁に訪れる場所に仕上げていく」というものです。

「見学者が来る」ということは、その時点でかなりの社会インパクトがあるという証拠。
価値が高まったと誰もが認めるレベルにあるはずです。

ゆえに、この朝日町も、ずばり「全国から見学者が絶えない、上手くやっている町」にしていくこと。
これこそが僕が描いているビジョンであり、ひとつのゴールです。
   
【聞き手】 具体的な数値目標はありますか?
   
【村尾隆介】 見学者の数に関しては特に決めていないです。
 
でも、部分部分では、僕が意識している数字があります。

2年のプロジェクト期間中から、その終了後の1年の間、つまり向こう3年間で・・・

3つの新しい企業、もしくは店舗を呼び込むこと。

9人の転入者、もしくは朝日町に半分くらい拠点を置く人をつくること。

39以上のメディアに取り上げられること。
これはもう最初の半年で、すでに達成しているかもしれません。

新たに3つのイベントを興すこと。
9人以上の僕の後継者を育てること。
3人以上の1000万プレイヤーを生み出すこと。
3つの出版物をリリースすることなどなど、いろいろあります。
   
【聞き手】 すべて「3」と「9」になっていますね!?(笑)
   
【村尾隆介】 計画に根拠はないのですが、僕自身の町への“感謝力”のアップ、
町全体の“感謝力”のアップのようなものを、よりこの期間中に意識したいなって思って(笑)。
   

「『3ヶ月=1年』という考え方で、スピードを重視している」

【聞き手】 2年間という短期間で、町は本当に変われるものなのでしょうか?
   
【村尾隆介】 ブランドは「つくる」よりも「育てる」という要素が大事で、
ビジネスの歴史を振り返っても2年間で“のれん”を築けた企業というのは、
発展がはやいIT業界を除いては皆無でしょう。

7500人というコンパクトなサイズではありますが、朝日町には様々な考えを持った方々が暮らしています。
それらを上手にまとめて“町ブランド”を完成させ、全国に名を轟かせるのは、
どんなコンサルタントにとっても容易ではありません。

でも、そんな町になっていくための“土台”のようなものは、
この2年でつくれると考えています。

すでに実際、「町の空気が変わった」「町民の姿勢や意識が変わった」と、
道端で僕に声をかけてくださる方も多く、ワクワク感は芽生えているようです。
   
【聞き手】 そのワクワク感をもたらせるのが最初の3ヶ月の仕事だったと、
村尾さんはメディアを通じて、よく話しているような気がしますが・・・
   
【村尾隆介】 過去に自分の著書の中でも書いたことがあるのですが、
僕は「3ヶ月を1年」と考え、普段から仕事をしています。

どこでも3ヶ月をひとつの区切りにしながら、
プロジェクトドライブをしています。
   
【聞き手】 その“3ヶ月クール”で考えている全体スケジュールを教えてください。
   
【村尾隆介】 2014年の4月に始まった、このプロジェクト。
最初の3ヶ月は、とにかく「町民にワクワク感を!」がテーマでした。

数多くの講演を町内でこなし、ひとりひとりに語りかけることに
時間とエネルギーを費やしました。

でも、そこで町民の方々が盛り上がっても、またメディアで朝日町が報じられても、
実際にはモノやサービスを全国に向けて売っていかないと
具体的な経済効果は見込めません。

朝日町は圧倒的に“売りもの”が少ない状態にあります。

なので、2014年7月~12月は「売りものをつくる時間」としています。
ここは半年間なので、3ヶ月のフェーズの2つ分を使います。

そして、2015年1月から6月・・・、これも2つ分の区切りですが、
この期間では町のネット戦略の強化を図っていきます。

2015年7月~9月は夏なので各種イベントの強化と、
それを通じて後継者の育成の仕上げに費やします。

2015年10月~12月は終盤戦なので、
朝日町ブランドの管理を仕組み化していきます。

2016年1月から3月は最後のフェーズになりますが、
ここは何でも残務に使えるように取っておきたいと思います(笑)。
   

「『ブランド化』という言葉を使わずに、ブランド化を進める」

【聞き手】 最後になりますが、この「ブランド化」という難解な言葉、
どう町民や関係者は捉えていけば適当なのでしょうか?
   
【村尾隆介】 ブランド戦略の専門家の僕がいうのもおかしいですが、
僕は「ブランド化」という言葉を一切使わずに「ブランド化」を成し遂げるのが、
最も優れたブランディングではないかと思っています。

ブランドという言葉の定義や意味は、ちょっと難しいです。
その定義で喧々諤々やるのは、時間がもったいないです。

朝日町の場合は、その売りものや観光の在り方、また町民へのサービスを、
すべて「女性向けにしていく」だけでも、今よりも遥かにいろいろなことが
研ぎ澄まされていく・・・、つまりブランド化されていくと思います。

なので、「町をブランド化しよう!」なんていわずに、
「すべてのものを女性に喜んでもらえるようにしていこう」を合言葉にしていけば、
それだけでも町のファンは格段に増えていくことでしょう。

ブランドづくりとは、ファンづくりのこと。
ファンいっぱいの朝日町にしていきたいです。
   
【聞き手】 ありがとうございました。
   

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KEYWORDS OF THE PROJECT

このプロジェクトで村尾隆介が大切にしている言葉

ここでは少し専門的な言葉を織り交ぜながら、
プロジェクトリーダーである村尾隆介が大切にしているキーワードを紹介します。

町で活動しているときは、これらの言葉をもっとわかりやすいものに置き換えていますが、
この公式ウェブサイトでは、あえて“カタカタ語”のまま紹介します。

山形県朝日町のブランド化推進プロジェクトの方向性が垣間見える、
そんな機会になれば幸いです。

ラーニング・オーガニゼーション(learning organization)

星の数ほどコンサルティングをしてきた村尾隆介が、ひとつ確信を持っていえること。
それは「いくつになっても勉強し続ける集団をつくることが、その組織を成功に導く」というシンプルな経験則です。

「ゆえに<あさひまちブランド大学>から仕事を始めた。『隔週で学ぶ』が根付いたら、この町は強くなる」。
「ラーニング・オーガニゼーション」は「学び続ける組織」のこと。村尾隆介の定番仕事術です。

プロボノ(pro bono)

「プロボノ」と「ボランティア」は無償で働くという意味では同じです。でも、「ボランティア」は
「海岸の清掃」や「イベントの受付」など、自分が得意としていないことにも時間と労力を提供するものです。

「プロボノ」は自分がプロとしてやっていること・知っていることを無償で社会のために提供します。
<あさひまちブランド大学>の講師陣がプロボノとして登壇しているのは、この考えがあるからです。

ルーラル・ソーシング(rural sourcing)

「rural」=「田舎」です。「アウトソーシング」から派生した「ルーラル・ソーシング」という言葉は、
「田舎に住むクリエイターに仕事を発注する」という動きを指すもの。今後、注目を集める言葉です。

ネットがあれば好きな土地に移り住めるクリエイターたち。自分がそのひとりであるように
「朝日町在住クリエイターたちが全国にデザイン・アイデアを売っていく」という未来を村尾は見据えています。

セカンド・オフィス(second office)

「本社・工場の誘致ではなく、朝日町が行うべきは、都市部の小さな会社が“息抜きしながら仕事できる場所”の提案」
という村尾隆介。「セカンド・オフィス」とは、そんな場所のことを指します。

「新規事業の企画や、チームづくりの合宿のために、朝日町を定期的に訪れる小さな会社を増やしたい。
僕もブレストや会議に加わり、それを付加価値として売り出したい」と、よく話しています。

クリエイティブ・クラス(creative class)

「ものづくりだけではなく、デザインやアイデア、はたまたプログラミングなど、ネットを介して提供できる
商品・サービスを世界に向けて売っていくという発想が朝日町には大事。今はシフトのいい機会」

「クリエイティブ・クラス」とは“創造性”を売りものに活躍する層。今後、ますます台頭が予想されます。
「“クリエイティブ・クラスが住みたい町”に名を連ねることが市町村の生き残る重要な策だと思う」

クオリティ・コントロール(quality control)

「クオリティ(品質)の管理をし、一定の基準を保つ」…、これがブランド化には欠かせません。
でも、村尾隆介はリンゴやワインの品質を心配しているわけでも、そこに着手するわけでもありません。

彼が着手したいのはデザインや印刷物、ネットでの発信時における写真や文章の品質管理です。
その統一感の管理です。「そこに統一感がないと、いつまでも世間で“朝日町ブランド”が固まらない」

ロカボア(locavore)

平たくいえば「地産地消」。100マイル(160キロ)以内で、顔が見える生産者から食料を入手しようという
姿勢に対する言葉。「loca」は「ローカル」、「vore」は「食べる人」という意味。造語です。

07年に米国の「今年のことば」に選出。村尾隆介は他市町村よりも先駆けて、朝日町の飲食店が
「ロカボア」を掲げることを夢見ています。町外から足を運んでもらうための鍵と考えています。

アイデアタウン(idea town)

「町民ひとりひとりがアイデアパーソンで、しかもそれを形にするガッツと行動力を持っている。
町全体に、そんな姿勢をもたらせることができたら、人口が減っている町でも大丈夫」と、村尾隆介。

そこで町民のクチグセに設定しようと考えているのが「アイデアタウン・あさひまち」という言葉。
クチグセひとつで空気や文化が変わることを、長年のコンサル経験から知っているからこその発想です。

サステイナブル(sustainable)

プロジェクトが始まって以来、何度も村尾隆介は「仕事を残すのではなく、仕組みを残す」と公の場で話しています。
自分がいる間はパワフルに盛り上げることができるは知っています。問題はその後。

サステイナビリティとは環境の話で使われる言葉。が、ここでは「プロジェクト後も持続可能な(サステイナブルな)
朝日町のあれこれ」という意味で用いられます。「持続可能」を今から町の合言葉に!

キブツ(kibbutz)

ホンダの社員として中東で活動することが多かった村尾隆介。イスラエルの優れた社会システムである「キブツ」を見て、
「いつか日本で実現したい」という想いを、ずっと心に持ち続けていました。

キブツとは老若男女が集団生活をしながら農業などに従事する衣食住付の労働環境。
就労困難者が社会復帰する機会をつくりたいと願う彼が、町の農家と共にそれを形にする日がくるかも!?

ダーチャ(dacha)

裕福な家庭ではなくても、ロシアでは「ダーチャ」を所有している世帯が実に多いです。
ダーチャとは、こじんまりとした農園付の別荘。週末、ロシア人はモスクワ等の都市部を離れダーチャで過ごします。

「東京の人には距離的に難しいけど、仙台の方々に朝日町はダーチャ的な場所を持つのに最適」と、村尾隆介。
実は震災後、すぐに愛知の建築会社と手頃なダーチャも開発済です(www.dacha.jp)。

ノボリFREE(nobori free)

「見学者が絶えない、かっこいい田舎町を目指す」と、ブランド化のビジョンを語った村尾隆介。
常に頭の中は「どうしたら欧州の田舎町のように日本の田舎町もかっこよくできるのだろうか?」です。

答えのひとつとして出したのが「ノボリが景観を壊しているでは?」というもの。「朝日町ではノボリも、
派手な看板もない、日本には稀な美しい町の実現を」と、今後は事業主と対話を進めるそうな…。

プラスチックFREE(plastic free)

この場合の「プラスチック」は「ビニール袋」を示しています。全国でエコバッグの普及は進むも、
小売店でビニール袋が100%使われていないという市町村は、そんなに多くはないと思います。

「エコを大切にしてきた町だからこそ徹底したい。全国に先駆けて“プラスチック・フリー”になれば、
それは世界的にもニュースになるはず。朝日町のサイズだからこそできる。サイズ的には十分可能」

このコーナーでは、このようなキーワード足し引きしながら、プロジェクトリーダー・村尾隆介が何を考え、
どこに町を導こうとしているのかを示していきます。どうぞお楽しみに!

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OUR COMMUNICATION

「ブランド戦略」とは、言い換えれば「今よりもっと上手なコミュニケーション活動をしていこう」ということでもあります。
朝日町では、このプロジェクトを通じて、役場や個々の企業・店舗、そして各個人が、あさひまちの何かしらを発信するとき(含・イベント)、
以下のことを意識的に盛り込んでいきます。
項目のすべてが盛り込めなくても、このうちのいくつかでも印刷物や案内の各種看板などに盛り込む。
その積み重ねと各人の努力が“朝日町らしさ”の構築につながり、それが朝日町のブランド(軸)になっていきます。

統一感がなければブランドにはなれません。
朝日町では、この項目をもって統一感を図ります。

朝日町では、すべての印刷物・看板・イベントに、以下の要素を盛り込みます

1.外国人でもわかること

2.クスッと笑えること

3.女性重視・女性優先であること

4.アート・デザインとして美しいこと

5.エコに配慮していること

6.ラスト10%のツメがあること

7.ニュースになるパワーがあること

少なくとも、ひとつの“発信”につき、上記の項目のいずれか3つが、
そのひとつの発信(含・イベント)に組み込まれていることが望ましいです。

町の未来のために、がんばっていきましょう!

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